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知的財産推進計画2007の内容
知的財産推進計画2007の20頁(38頁)では,「インターネット上の違法送信からの複製」,つまりダウンロードを,例外的に著作権(複製権)侵害とはされない「私的複製」の「許容範囲から除外する」ことについて,検討するとされています。
(2)違法複製されたコンテンツの個人による複製の問題を解決する合法的な新しいビジネスの動きを支援するため、インターネット上の違法送信からの複製や海賊版CD・DVDからの複製を私的複製の許容範囲から除外することについて、個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら検討を進め、2007年度中に結論を得る。同様の記述は,90頁(108頁)にも見られます。どちらも,権利者(著作権者など)に投下資本の回収を確保させるという,著作権法が従来からもっている(そしてそれ自体は合理的で正当な)機能を強化するものと位置づけられるように思います。
(文部科学省)
さて,本計画では,
個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら検討を進めるとされています。具体的には,どのようなことが「留意」され「検討」されるのか。それについては,文部科学省文化審議会著作権分科会国際小委員会での議論が参考になります。
文化審議会での議論
著作権分科会国際小委員会(以下,「本委員会」と言います。)の第2回議事録を見てみます。そこでは,先ず,事務局から以下のような説明がなされています。
ダウンロード行為の違法性ということですが、日本法においてはダウンロード行為は「私的使用」の範疇ということで、現在は権利制限されているという認識だと思います。一方、アメリカにおいては、「フェアユース」の適用によりまして、たとえダウンロード行為であっても、損害の多寡に応じて侵害の行為にあたるということが認定できるのではないかと考えております。また、ドイツ法は日本法とかなり似た体系でございますが、私的複製について今回法改正がなされておりまして、利用者が悪意である場合には、ダウンロードを行った先のサイトが違法サイトであることについて悪意である場合には私的複製行為についても違法行為であるという法改正を行っております。(注)上記引用文における「悪意である」とは,法律用語で,「知っている」の意味です。つまり,
ダウンロードを行った先のサイトが違法サイトであることについて悪意である場合とは,ダウンロード先のサイトが違法サイトであることを知っている場合,という意味になります。
著作権法30条1項によれば,違法な(著作権を侵害するような)複製物などをダウンロードする場合であっても,「私的使用」といえる限りにおいて,著作権法違反(複製権侵害)とはならない,とされています。
しかし,特にドイツにおいては,違法に複製された複製物のダウンロード(ハードディスクなどへの複製)が違法になりうると,明文で規定されています。つまり,ドイツ著作権法53条は,1項で,通常なら私的複製として例外的に著作権侵害とはされない場合であっても,明らかに違法な(
offensichtlich rechtswidrig)ものから複製する場合には,原則通り,著作権侵害とする,としているのです。
Zulässig sind einzelne Vervielfältigungen eines Werkes durch eine natürliche Person zum privaten. Gebrauch auf beliebigen Trägern, sofern sie weder unmittelbar noch mittelbar Erwerbszwecken. dienen, soweit nicht zur Vervielfältigung eine offensichtlich rechtswidrig hergestellte Vorlage verwendet wird.※日本語訳は,文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の参考資料を参照。
なぜドイツか
『とりあえず複製を原則として禁止しておいて,個別に禁止を解除する』というのが日本著作権法の発想であると思います。これと,ドイツ著作権法の発想は似ています。また,フェアユースという考え方を取り入れるならば,上記発想を(少なくとも見かけ上は)大きく転換しなければなりません。そこで,ドイツ著作権法の規定が,これから先の改正議論においても,しばしば参照されるのではないか,と思うのです。
ダウンロード違法化の論点
さて,ダウンロードを違法とするに当って検討されるべき問題ですが,私は特に以下の二つを指摘したいと思います。第一に,違法化することによる権利侵害の抑止効果であり,第二に,違法化による個人の著作物利用に対する制約(自主規制を含む)です。
ダウンロード違法化の恩恵
例えば,違法に複製された複製物のダウンロードが著作権法違反であるとして,損害賠償請求や差止請求を認めることで,権利者は損害を回復し,あるいは損害発生を回避することができます。刑事罰を科すことにより、違法な複製物のダウンロードが抑制される結果,そもそもの違法な複製も行われなくなり,やはり権利者への損害発生が回避されます。この効果それ自体について,異論はないでしょう。
問題は,そうした効果が本当に得られるのか,実効性があるのか,という点です。もしも実効性がないということになれば,ダウンロードを違法化する法律は,後述のように国民の権利・自由を侵害しながら,それを正当化するだけの理由がない,過剰な制約を課す法律であり,不要である(場合によっては,憲法違反)ということになりかねません。
実効性という問題については,本委員会でも議論が行われています。先ず,上原委員が,以下のような私的を行っています。
もう1点もご質問でございまして、ドイツでダウンロードについても一部、違法化するという立法がなされたということでございますが、アメリカのフェアユースにおけるダウンロードを複製で捉えていくというのは、フェアユース全体の大きな仕組みの中で「間接侵害」等で意味があると思うんですけれども、ドイツの法制を見た場合、ダウンロードを実質的にエンフォースで捉えるのは非常に難しいと思いますので、現実にこの法律ができ上がった後、何らかの実例があったのかどうかということがおわかりでしたら、お教えいただきたい。つまり,ダウンロードを違法とする規定を設けたとして,それをどのように執行していくのか,それは困難なのではないか,という指摘です(なお,エンフォースないしエンフォースメントの意味として,国立国語研究所のサイトを参照)。
この2点についてお答えいただきたいんですが。
これに対し,事務局は,以下のように返答しています。
後者につきましては、ヨーロッパの弁護士事務所を通じて調査した結果、2003年10月にドイツの法律改正が行われていまして、EUでは2001年、デジタル対応のためのディレクティブがだされていて、それに基づいて各国が法整備をしています。ドイツは2回、法律改正を行っていまして、後者の2003年の法律改正においてダウンロードについての法律改正を行っています。損害賠償責任などの民事的責任の話と刑事罰の話とが混線しているようにも見えるのですが,とにかく,法を適用して損害賠償を請求したり刑事罰を課したりすることが困難であるとしても,それを可能とする『とっかかり』をつくっておくべきである,という趣旨なのでしょう。
違法サイトであることについて悪意のユーザーがダウンロードした場合には取り締まるということなんですが、これはエンフォースメントがかなり難しいと思います。原告が挙証しないといけないんですが、本当に難しいだろうと思います。ただ、基本的には何らかのファイル交換に対する対応が必要だということで、こういった規定をおいているのが今回の改正でございます。
あと、24条の第2項、イギリスの法律にもございますが、「著作物の著作権は、著作物の侵害複製物が作成されることを知りつつ、または信じる理由を有しつつ、電気通信設備の著作物を著作権者の許諾を得ずに送信する者により侵害される」とありまして、これが送られたことによって著作物の侵害複製物が作成されることを知りながら、あえて侵害した人をここでは「侵害者」ということで認定をしています。
ですから、自ら複製する人ではなくて、侵害を引き起こすことをわかっていながら、著作物を送る行為を二次的な侵害として捉えています。
違法な複製・公衆送信それ自体(例えばアップロード行為)を禁止することと併せて,ダウンロード行為をも禁止することにより、非常に効果的な損害抑止が可能になることは,否定できないように思います。実効性については,特にドイツでの現状を参考に更に検討すべきではありますが,規制が過剰にならないような手段(後述)をとることによって,かろうじて正当化できるのではないでしょうか。
ダウンロード違法化の弊害
第二に,この点がより強い関心を集めていると思いますが,(ある特定の類型の)ダウンロードが違法とされることによって,個人の活動に悪影響が出るのではないか,ということです。
自由な表現活動が民主政を支えており,自由な表現活動のためにはその基礎となる情報の収集についても自由が保障されなければなりません。しかし,例えば,ウェブサイトを閲覧すれば,キャッシュが残ります。つまり,否応無しにデータが複製されるわけです。違法な複製物と知らずにダウンロードすることもあるでしょう。ダウンロードしただけで直ちに違法とされるなら,そうした表現活動に対する規制は,自己規制という最も強力な形で制限されることになります。
しかし,そうした規制を回避しつつ,違法な複製物を排除するという目的──おそらく異論なく支持される目的──を達成する手段も,考えられます。
例えば,上述したドイツ著作権法53条のように,明らかに違法であると認識しつつダウンロードする行為のみを違法とすることです。
ダウンロード違法化は,恐怖か?
これに対しては,『ダウンロードして中身を確認するまで,それが違法かどうかは分からない』『中身を確認しても,それが違法かどうか分からない場合すらある』という,もっともな批判があります。
しかしながら,ドイツ著作権法53条のような規定を設け,『ダウンロードするまでもなく違法であることが,(一般人にとって)明白な複製物を,あえてダウンロード(複製)する』場合のみを違法とする解釈をするならば,前者のような批判は当たらないことになりましょう。
新たに設けられるかも知れない,ダウンロードを違法化する規定は,刑事罰を予定している限り,違法と適法との境目を明確にして,国民がどこまで自由に動けるのかを明示しておく必要があるため(罪刑法定主義,特に自由保障機能からの要請),原理的には,上記のような懸念を払拭するに足りる明確な規定が設けられるはずです。
更に,刑事罰に限って言えば,『うっかり』や『結果責任』によって刑事罰を科せられることはありません。著作権法違反の罪は故意犯,つまり,『わざと』著作権を侵害した場合にのみ,成立するからです。法律上の根拠は,刑法38条1項が,「罪を犯す意思」(故意)がない行為は罰しないとしており,この原則は,刑法に規定されていない犯罪についても適用される(刑法8条)からです(よって,ダウンロード違法化と同時に,『うっかり』,つまり過失による侵害行為についても刑罰を科すという規定が設けられるならば,上記の議論は当てはまらないことになります)。
民事的責任についても,差止請求についてはともかく,損害賠償責任を肯定するための過失を認めることは,理論的に(つまり事実上ではなく),困難でしょう。明らかに違法であると分からないものならば,ダウンロードしても構わない(適法である)とされている以上,よほどの不注意がある場合(つまり,少し考えれば違法であると認識できたのに,思考停止してダウンロードする場合など,ほとんど故意と言える場合)に限って過失が認められることになるからです(なお,そもそも個々人のダウンロードによる損害は微々たるもので,損害賠償請求などコスト割れになるからしない,という批判は,事実としては決定的ですが,理論的なものではないため,ここでの論拠とはしません)。
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kiyosakari様は、違法というものをどのようにお考えになっておられるのかご教示いただきたく、質問させていただきます。
kiyosakari様は、次のように述べられています。
「違法な複製物と知らずにダウンロードすることもあるでしょう。ダウンロードしただけで直ちに違法とされるなら,そうした表現活動に対する規制は,自己規制という最も強力な形で制限されることになります。 」
私は、「違法」か否かは、客観的に考えるべきではないかと思っていますので、「違法な複製物と知らず」という主観的要件は、違法性の問題ではなく有責性の問題ではないかと思うのですが、違法性の問題だとお考えになる理由をお教えいただけないでしょうか。
2007.06.26 12:35 URL | 日本映像ソフト協会 酒井 #- [ 編集 ]
>酒井様
コメント有り難うございます。
先ず,私の用語の使い方に曖昧・不正確な部分がありました。以下に釈明させて頂きます。申し訳ありませんでした。
<q>違法な複製物と知らずにダウンロードすることもあるでしょう。</q>
ここでいう「違法」とは,著作権法違反,例えば複製権を侵害して作成された複製物の意味です。
これ以外の部分でも,ダウンロードの対象物について「違法」と述べている場合は,同様です。
<q>ダウンロードしただけで直ちに違法とされるなら,そうした表現活動に対する規制は,</q>
ここでは,『(ダウンロード行為を処罰する規定が設けられた場合の)著作権法違反の罪が成立する』という意味で,「違法」という用語を用いました。不正確でした。
次に,酒井様の指摘について返答させて頂きます。
『釈迦に説法』的な部分があるかとも思いますが,ご容赦ください。また,ご指摘の「違法」の意味として,刑事法上の違法性の意味であると前提して,以下記述しますので,誤認があれば,ご指摘ください。
結論から言えば,いわゆる行為無価値論と結果無価値論の対立に帰着するのではないか,と思います。
故意をもっぱら責任要素と位置づける(よって構成要件的故意を要求しない)ならば,私の「違法」という物言いは,明確な間違いであるとされるように思います。仮に酒井様がこのような見解に立たれているのであれば,おっしゃる通り,ご指摘の主観的要件は有責性(のみ)の問題とされると思います。
しかし私は,犯罪論における違法性の判断には,法益侵害(結果無価値)という面だけでなく,行為者の主観(特に故意)も考慮されなければならない,と考えています。
例えば,『ダウンロードすべきでないものをダウンロードする罪』というようなものが,故意犯として創設されたとします。すると,そこでの構成要件は,『ダウンロードすべきでないものをダウンロードすること』になるかと思います。
そして,刑法上の通説によれば,故意犯の成立のためには,先ず第一に構成要件的故意(構成要件に該当する事実の認識・認容)が要求されます。上記事例に則して言えば,『ダウンロードすべきでないものをダウンロードする』という,構成要件に該当する事実の認識と認容です。そして,構成要件は違法行為を類型化したものであると考えられますので,(構成要件的故意を含めた)構成要件該当行為があることをもって,「違法」と表現することも許されるのではないか,と思います。
故意が違法要素(類型的な違法要素なので,構成要件要素)になることの積極的な理由づけとしては,井田良教授の議論に説得力を覚えます。
井田教授は,刑法が国民に向けて禁止事項(行為規範)を呈示し,犯罪行為を抑止して,法益侵害が生じることを回避している,という捉え方(規範的一般予防論)に立脚しておられます。そして,そうした行為規範を最も大きく動揺させるのは,故意に基づく行為であることから,故意ある行為をより重く評価する,すなわち,より重大な違法性があると評価するべきである,と。
故意は『責任要素であるが,違法要素ではない』とすれば,とにかく人を殺した以上,殺人も,傷害致死も,過失致死も,違法の程度は全て同じだけれども,責任の段階で区別される,ということになりますが,それを否定するわけです。
以上でお答えになるでしょうか。些細なことでも,お気づきの点があれば,ご指摘ください。
2007.06.26 21:06 URL | kiyosakari(管理人) #vnc5oDBU [ 編集 ]
早速お答えいただきありがとうございます。
私が質問させていただきました「違法」は刑法上の違法をもちろん念頭においておりますが、私法上の「違法」も含んでいます。そして、刑法上違法であれば私法上も違法であるとの認識を持っています。
行為無価値論と結果無価値論との対立に帰着するとのお答えをいただきましたが、私は客観的違法論と主観的違法論の対立ではないかと考えていました。
確かに、行為無価値論は客観的違法論に立ちつつ、構成要件的故意を肯定しますが、例えば大塚仁先生は、「構成要件的故意は、本来的に責任要素とされた故意を類型化して捉えたものというべきであり、構成要件が責任の類型でもあるということは、この点にもうかがわれるのである。」(「刑法概説(総論)〔改訂版〕」(昭和61年 有斐閣)179頁と述べておられますから、行為無価値論からも構成要件的故意は責任類型と捉える見解もあると思います。
また、構成要件的故意を違法要素とするご見解も、故意と過失とでは違法性の程度に差異があるとするのであって、構成要件的故意がなければ違法性がなくなるということでも無いように思うのですが、いかがでしょうか。
たとえば、過失によって他人の物を壊してしまった場合、構成要件的故意は無く過失器物損壊罪が存在しないのですから不可罰ですが、これは過失による器物損壊が構成要件該当性を欠くからであって、違法ではないからではないように思われます。
それゆえ、過失による器物損壊は私法上の違法性が肯定されるのではないでしょうか。そして、不法行為の成立要件としての故意過失は責任の問題だと考えられている思いますが、いかがでしょうか。
私法上の違法性についてもお教えいただければ幸いです。
2007.06.27 11:59 URL | 日本映像ソフト協会 酒井 #- [ 編集 ]
>酒井様
再度のコメント,有り難うございます。お返事させて頂きます。
・故意の体系的位置づけ等について
>行為無価値論からも構成要件的故意は責任類型と捉える見解もあると思います。
その通りであると思います。
ただし,いわゆる行為無価値論の立脚する客観的違法性論は,違法性と責任との区別につき,判断の対象(客観面か,主観面か)が異なるのではなく(これは,いわば『純粋な客観的違法性論』からの帰結であると思います),判断の基準(一般人〔=客観的基準〕か,行為者本人〔=主観的基準〕)が異なるのだ,とする立場ですから,判断の対象として主観面も当然に含まれることを前提としていると思います(ですので,やはり問題の核心は,違法性の本質論(行為無価値か結果無価値か)にあるのではないでしょうか)。
そして,大塚教授も,故意は違法要素でもあり,責任要素でもあるとしていますので,当初のご質問に対しては,やはり,『違法か否かについて,主観的要素も考慮しなければならず,「違法な複製物と知らず」という主観的要件(故意)も,違法要素として(も)検討される』ということになると思います。
>構成要件的故意がなければ違法性がなくなるということでも無いように思うのですが、
>いかがでしょうか。
私は,故意は違法要素である,ということを前提に,それが類型的な要素であることから構成要件要素に位置づけられる,と考えております。この立場に拠れば,違法性阻却事由のない限り,構成要件に該当する行為は違法となります(いわゆる,構成要件の違法性推定機能)。
ですので,構成要件的故意が否定された場合,その行為について,違法性は完全に否定される,と考えます。
また,そもそも,構成要件要素としての故意を(も)認める立場に立てば,違法性段階での判断を経ることなく犯罪の成立が否定されるのですから,やはり違法ではない(違法性は否定される)と言えるのではないでしょうか。
・器物損壊の例について
上述したところからもお分かりの通り,私は,構成要件にそもそも該当しない行為は全て合法であると考えます。ですので,『過失による器物損壊』は,やはり,違法ではないから罰せられない(というよりも,それを禁止する規定がないため,違法となり得ない)のであると考えます。
民事法上の違法についてですが,不法行為を念頭においてよろしいのでしょうか?
例えば,保証契約は書面によって締結しなければ無効とされますが(民法446条2項),書面によらない保証契約を「違法」と表現されるのであれば,その「違法」認定にあたっては,当事者の主観的要素は考慮されないように思います。また,同時履行の抗弁権がないにも関わらず,債務の履行をしない状態を「違法」と表現する場合もありますが,その場合も同様に考えています。
以下,不法行為を念頭に,私の考えを述べさせて頂きます。
不法行為の要件として,独立に「違法性」の要件を立てる見解(末川・我妻)もありますが,私は否定的です。条文上明記された,「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」ことという要件と,「故意又は過失によって」という要件とに解消できるものと考えるからです。
仮に,この末川・我妻説に則った場合でも,主観的要素を考慮せずに,違法性は判断できないと思います。同説に拠る違法性は,被侵害利益と侵害態様との相関関係によって判断されるもので,「侵害態様」の考慮において,それが故意行為なのか,過失行為なのかということも考慮されるからです。
他方,「違法」の意味を,私の不正確な定義のように,『不法行為責任が成立する』という意味でとらえるならば,そこでは,どの立場に拠っても故意・過失が要求される以上,主観的要素を除いて『違法』判断はできない,ということになろうかと思います。
矛盾点等ありましたら,再度ご指摘願います。
2007.06.27 20:38 URL | kiyosakari(管理人) #vnc5oDBU [ 編集 ]
違法を多元的にお考えになり、過失による器物損壊は、刑法上は合法だが不法行為法上は違法ということでしょうか。
私は、自動公衆送信権侵害によって発生した結果を、ダウンロードは適法だとして肯定すべきではないと考えています。しかし、個々のダウンロードにより惹き起こされる法益侵害の程度は、類型的に軽微であり、その点、著作権法30条1項各号のケースと共通しています。私的使用目的で複製されるこれらのケースについては、可罰的違法性があるとはいえないこと等から、著作権法119条1項括弧書きで罰則が適用されないとされていますから、それと同様の考え方をとるべきではないかと考えています。
巷間、他人の著作物を無断でアップロードすることは違法だが、これをダウンロードすることは違法ではないと言われることがあり、それが違法にアップロードされた著作物のダウンロードを奨励することになりはしないかと危惧しており、違法性についてご質問させていただきました。
丁寧なご回答ありがとうございました。
2007.06.28 12:24 URL | 日本映像ソフト協会 酒井 #- [ 編集 ]
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